待ちわびたその日。
ようやくその時がくると分かり、心臓が飛び跳ねるように踊った。
まるで初恋のようだった。
それでも、やはりお店の中なわけで。
表面上は平静を装いつつも、誤魔化せる程大人ではないさや吉嬢。
当然、
マネージャーにはバレバレ。
普段なら、送り出してくれるのはボーイさんだったりするのに。
何故かしら、マネージャーがこんな時に限ってしゃしゃり出てきやがって。
そっと耳元で囁くわけ。
「やっと来たね」
なんて。
意地悪。。。
そんなマネージャーの事よりも、その奥で控えているであろう
黒ちゃんの事で頭がいっぱいのさや吉嬢なわけで。
フフ

そうして、ようやく。およそ一年は経過しようかというその日。
黒ちゃんと再会を果たしたわけ。。
マネージャーが跪いて開けたドアの向こうに、懐かしい黒ちゃんの姿。
もう周りの事なんか見えていない。
まだロビーだというのに、思わず抱きついてしまう程のさや吉嬢。
あぁ、正直過ぎる。それでも、シャイな黒ちゃんも応えてくれたっけ。
しかし、ロビーでいちゃついても店側にとってはいい迷惑なので
本日のお部屋へまずは移動をしました。
そうそう、意外な事があった。
いざこうして目の前に黒ちゃんが現れても、なかなか言葉が出てこない。
あれだけ待ち焦がれる間は、色んな事を思い、聞いてみたい事もあったし。
黒ちゃんに触れて触れられて、また一つになりたい。そう思ったのに。
正直、目の前に居るだけで。
さや吉は十分充たされていたんだ。
部屋に入れば二人きり。
以前なら時間を惜しむようにお互いの身体を求め合ったのに、
なんだか付き合い始めの
恋人同士のようだった。
身体が触れるか触れないか位の距離で、
ベッドに腰掛けて話をしてた。
最後に会った時から今日までのお互いの日々について、話をした。
さや吉はきっと何も変わらずにここに居た事。
黒ちゃんは、少し生活環境が変わりなかなか身体的にも金銭的にも
余裕がなかったという事。そんな話をしてた。
それでも、やっぱり伝わってくるのは、お互いに相手を忘れずにいた事。
心の中に相手がいたからこその日々を過ごしていたのだという事。
言葉で発したわけではないけど、心の言葉で分かるお互いの想い。
口に出さなくても伝わるんだね。
それが確信できた時、お互いの身体を求め合い。一つになったんだ。
何も変わらない。いや、黒ちゃんはちょっと肉づきがよくなったかな。
意地悪でお腹の肉をつまむと、さや吉の感じるところを逆に攻撃してきて。
またさや吉が黒ちゃんを欲しがる様子を楽しむ程に。。
「焦らしプレイなんか覚えちゃって。一体いつどこでそんな事覚えたの?」
そんな会話をしながら、あっという間に過ぎていった時間。
結局、黒ちゃんはダブルに切り替え、交わってはゆっくり
お風呂に入って一休み。
そんな繰り返しで、今迄会わずにいた時間を埋めるように交わっていた。
その日、数人の方と交わっていたというのに。
そんな事などすっかり忘れて、黒ちゃんに包まれて幸せだった。。
そんな様子は、当然店の皆様にも伝わるわけで。
今度こそ時間がきて、黒ちゃんをお見送りした。
次の約束はしなかったけど、きっとそう遠くないうちにまた来るはず。
そんな自信すらあった程。。
てか、黒ちゃんが店を出る頃には。
もう遅番姐さん方が続々と出勤して御客様につき始めておりまして。
さや吉部屋の空き待ち姐さんがいたようで、ボーイ二人がかりでやってきて
黒ちゃんとの残骸と。部屋の片付けを全部やってくれましたとさ。。。
古株のボーイさんだったから、それぞれ黒ちゃんの事も覚えていたようで
片付けしながら「久し振りに来店されましたね〜」とか。
「なんか、激しいっすね。部屋(笑」とか。そんな言葉を交わしたりして。
最後、
フロントで清算して帰った。。
忙しい日に黒ちゃんのダブルがあったから、かなり厚みのある感じで。
でも、なんか心持ちは微妙だったりするわけで。。
そんな様子はすっかりマネージャーもお見通しで。
翌日は店もまったりな感じだったから、さや吉部屋にのんびり居座って。
お互いだらだらとベッドの上で他愛のない話をしてた。黒ちゃんの事も然り。
普段なら、もうとっくに服を脱がされててもおかしくない頃なのに。
おとなしく横でごろごろしてるマネージャーの様子は、ちょっと可愛く
思えるほどだった。
やっぱり、マネージャーも悪い人じゃないなと心から思った時。。
そして、黒ちゃんの存在は私的にも公的にも絶大なわけで。。。